ギャザーパンツ依存症 / Kics Document.

 

大嫌いな雨季が驚愕の速さで明けた。

天邪鬼なもので、こうも早く過ぎてしまうと少し寂しくなる。


そして、大嫌いな夏が驚愕の速さでやってきた。


東京の湿度を孕んだ熱気。暑い。

真夏日を連日で迎えてもう一週間くらい経つだろうか。少しだけ身体が慣れてきた気もするけれど、いや、暑いものは暑い。


大人になると「お洒落は我慢」出来なくなるもので、まず始めに快適さを求めるようになる。

快適が第一、そこにどうやってお洒落を付随させるか勝負、みたいな。

そんなお洒落を我慢出来ない大人の僕がセレクトしているので、COELACANTHにも夏を快適に楽しめる洋服が揃っています。


特にパンツが豊作で、先日紹介したANCELLMのリネンシルクやカーゴショーツ、Urigのレースにsatouの麻。


そして個人的にも去年から頼りっぱなしであるKics Document.のギャザーパンツ。

本格的に暑くなってからご紹介しようと決めていました。






Kics Document.は、武石佳南子さんという女性デザイナーが手掛けるユニセックスブランドで、うちのお取り扱いの中の紅一点。(とても気さくで明るい方なのでお時間のある方は、Kics Document.公式のインスタライブを一度見てもらいたい。)

やはり見る角度が違うのか、男性が作ってもこうはならないだろうなっていう特有の丸みとか洗練さ、華やかさが宿っているように感じる。


その柔らかなイメージの一方で、ブランドのコンセプトにはすごい熱量が宿っていて、日本の職人さんの高い技術力を広め、継承されることを願い、製品の全てをMADE IN JAPANで仕立てている。

生地や縫製はもちろん、糸やボタン、付属まで全て。All Made in Japan。

今の時代になかなか出来たことじゃないはず。本当にすごい。





僕がKics Document.と出会ったのは、COELACANTHをオープンする以前。

週に一回程度でお手伝いをしていた中目黒のセレクトショップ「Coper」でのこと。

当時はヴィンテージにインポートのハイブランドを合わせ、希少性と値段の高さでマウントを取るような装いをしていた僕にKics Document.は突き刺さった。

生地の選定から縫製、パターンのハイレベルさ。ベーシックな中で遊びを効かせたデザイン。

日本のブランドってすごい。努力の度合いがひしひしと伝わる。

お洒落=海外という何処で植え付けられたのかもわからないような洗脳が解けた。

Kics Document.との出会いが無ければ、COELACANTHはセレクトショップではなく普通の古着屋だったかもしれない。




書いているうちに熱くなって前書きが長くなりすぎた。

とにかく、この時にCoperで購入した一本のギャザーパンツ。夏季になるとパンツが可哀想になるくらいヘビーユースさせて頂いている。下手したら週に5回も履くほどに。

最早、依存の領域に達している。


ギャザーパンツという名前通り、フロントに無数のギャザーが生まれる特徴的な顔。

そのカラクリは、フロントから腰周りまで狂ったくらいに多く取った生地分量にある。広げてみるとびっくりするほどの分量。生地だけでも結構なコストがかかっているはず。

フロントはこれだけ膨らむのに、バックはベーシックなパターンでカッティングしているから、後ろからは綺麗なスラックスのように見える。

前後で全く違う顔をしているのに、きっちりと釣り合うようにバランスが取られている。


武石さん、この設計、何度やりなおしたんですか。相当な時間がかかっているはず。







生地には高密度で織られたコットンタイプライタークロスを採用。

とても薄くとても軽い夏の素材。

一見一触では頼りなく感じられる生地だけれど、高密度で織り上げられたこの生地は、読んで名の如くタイプライターで文字を打てるほど丈夫。

速乾性も高く、夜に洗って干せば朝には乾く。

何をしてても汗ばむ夏。毎日洗濯できるのはとても嬉しい。僕が週5で履けるのはそういうこと。

これ一本で3泊4日の旅に出たこともある。荷物が軽い。






綺麗に広がり肌に当たらないワイドシルエット。

絡みつくこともないドライタッチの軽快な生地。

美しい陰影を浮かべるギャザー。

前述した通り、凛と洗練されながらも、どこか柔らかく、どこか丸みを帯びている。


全くの我慢無く着飾れる、夏の装いがここにある。


NAVYが一本、BEIGEが二本と在庫も残り僅か。

今季は僕も買えてないので、毎日指を咥えながら眺めています。

こうも暑いので、冗談抜きでそろそろ手を伸ばしそうです。


ショーツに劣らない、夏のフルレングス。

ショーツが苦手な方や、ショーツ一辺倒の夏に飽きた方、ぜひ一度、店頭にてお試し下さい。


毎シーズン頼ってしまうほどの依存性を理解して頂けるはず。

ギャザーパンツ沼。いや、Kics Document.沼に飛び込みましょう。





𝐂𝐎𝐄𝐋𝐀𝐂𝐀𝐍𝐓𝐇


東京都渋谷区渋谷2-3-3 青山Oビル 2F


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